・免疫力とは
免疫とは「疫(えき)から免れる(まぬがれる)」、すなわち病気から逃れることを意味する言葉です。
具体的には、自分の体に入ってくる細菌やウイルスなどの「異物」から、 免疫細胞が「自分」と「自分以外のもの」を識別して防いだり、排除したりして体を守る働きのことを指します。
免疫細胞は、血液中の白血球、リンパ節、膵臓、パイエル板(腸の中)に存在します。
・自然免疫と獲得免疫 (もっと詳しく)
h3自然免疫
自然免疫は生まれつき人間の体に備わっている免疫で、細菌やウイルスなどの異物を食べて除去する食細胞を中心に構成されています。
例えば、ガン細胞も、私たちの体の中で毎日約5000個のがん細胞が生まれています。それを毎日毎日せっせと退治してくれているのが自然免疫(特にN K細胞)なのです。免疫が落ちれば、病気やがんに陥る可能性が高くなります。
h3獲得免疫
獲得免疫とは、感染した病原体を記憶し、再度遭遇した時に効果的に排除できるようになる仕組みです。自然免疫に比べると応答するまではやや時間が長くかかりますが、さまざまな病原体に反応する多様性を持っています。一度感染した病原体に対して耐性がつき、感染・発症しにくくなったり、軽くすんだりするのは獲得免疫の働きによるものです。
・免疫力が下がってしまう原因とは?
免疫力が下がってしまう理由は様々。
無意識のうちに自分で免疫を下げてしまっているなんてこともあります。
h3加齢による低下
免疫力は20歳前後がピークでそこから年齢とともに低下していきます。40代では半分くらい。70代では約10%ほどになってしまいます。
h3ストレスや冷えによる低下
ストレスや冷えがさらに免疫低下に拍車をかけてしまいます。粘膜免疫も40代に近くなるとぐっと下がってきてしまいます。
h3寒暖差には要注意
また、冬は特に寒暖差や空気の乾燥で、喉や鼻の粘膜が乾きやすいため、抵抗力(免疫力)も弱まり安くなったりもします。
h3若くても油断は禁物!?
若いからといって、偏った食事・睡眠不足・化学物質の影響・運動不足・ストレス・禁煙・飲酒と、免疫力を下げる要因は色々あります。
このような、生活習慣が乱れた生活をしていると、若い人でも免疫力が落ちてしまいます。「疲れていると風邪を引きやすい」というのもこのような理由からです。
「免疫力を下げる要因と習慣」
・加齢
・冷え
・睡眠不足
・運動不足
・激しすぎる運動
・過度なストレス
・ネガティブな思考
・昼夜逆転
・喫煙
・飲酒
・免疫力を高めるには?
免疫細胞が正常に働ける体内環境づくり=生活習慣が重要です。
h3腸内環境
免疫細胞がその力を発揮するために重要なのが腸内環境です。大腸から小腸にかけて、およそ1000種類、1000兆個以上もの細菌が存在し、腸内環境のバランスを整えています。
腸には全免疫細胞の約7割が存在していると言われています。腸は口とつながっているため、さまざまな病原菌やウイルス、異物などが入ってきてしまいます。胃液で排除できなかった異物は腸まで届きます。最終的に腸で異物を排除して健康を維持する必要があるのです。そのため、多くの免疫細胞が必要になります。
腸内細菌には、腸によい働きをする善玉菌の他に、有害物質を作り出す悪玉菌、優勢な方に味方する日和見菌の3種類があります。この3つの比率のベストな状態は、善玉:悪玉:日和見で2:1:7とされています。免疫力を高めるにはこのうちの善玉菌を増やし、日和見菌を味方につけて、腸内環境をよい状態にすることが必要とされています。
また、腸を冷やさないことも大切です。腸の周りの血流が悪化すると、腸の働きが鈍ってしまい、免疫力も低下してしまいます。
腸が冷えると腸の周りの血液も滞るので、周りの臓器にも影響してしまいます。腸の奥には子宮や卵巣もあるので、「お腹を温める」ことは特に女性にとって大切になってきます。
h3 質の良い睡眠
睡眠不足は健康の大敵です。睡眠時間が7時間以下の人は、8時間以上の人に比べて3倍も風邪を引きやすいという結果が出ているのです。
また、獲得免疫のT細胞が異物である抗原の情報を長期間記憶するには、適度な質のよい睡眠が不可欠とされています。
h3体を温める
体を温めること、冷やさないことはとても大切です。
1度体温が下がると、免疫力30%ダウン。1度上がると最大5〜6倍にもなると言われています。理想の体温:36.5度です。
体が冷えていると、血流が悪くなり、免疫の要の一つの白血球が体全身に行き渡りにくくなることで、免疫力が下がってしまいます。
そのため、入浴・運動・食事などを組み合わせて体を温めることが大切です。
h3適度な運動
適度な運動は血行が促進され、体の隅々まで酸素と栄養素が行き渡ります。
血行がよくなることで、体温も上がり血液中の白血球に含まれる免疫細胞の働きも活性化することができるので、免疫力がアップします。
また、軽い運動をした後は血管も拡張して、副交感神経が優位になります。自律神経が整い、体をリラックスさせる効果もあるので、ストレス発散にも有効的です。
ただ、過度な運動はかえって身体にも負担になり場合があります。
過度な 運動をすると、コルチゾールやカテコールアミンという、通称「ストレスホルモン」が分泌されます。このホルモンによって免疫機能が低下してしまうため、激しい運動は、免疫力をアップしたい方にはおすすめできません。
じんわり汗をかくようなゆっくりした運動やウォーキング・ラジオ体操・ストレッチ・ヨガなどがおすすめです。
h3食事(栄養素)
免疫力をアップさせるためには、規則正しい食事も大切です。
バランスの良い食事で腸を整えること。体を温める食材や食べ物に意識を向けることが大切です。
「体を温める食材の特徴」
・冬が旬
・収穫や原産が寒冷地
・根菜類、生姜など、土の中にあるもの
・色味が暖色系のもの
・発酵食品
・水分量が少ないもの
・干物や乾物
免疫細胞を活性化する栄養素に着目することもおすすめです。
ビタミン・ミネラル・アミノ酸はすべての細胞の活性化に必要なので免疫細胞の活性にもとっても大きな働きがあります。ミネラルに関してはバランスよく取ることが大事です。
そのほかに免疫の活動を活性化させる成分として、
・海藻などに含まれているフコイダン
・ポリフェノール(赤ワイン・コーヒー・紅茶・ごぼう・ほうれん草など)
・オメガ3 (エゴマ油・青魚・亜麻仁油など)
・微生物由来のもの(土の中などに存在するため、野菜・穀物・海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、LPSを摂取するなら無農薬のものを選ぶこと。 お米も米からもLPSを摂取することができますが、LPSは糠と胚芽に部分に多く存在しているため玄米の方が摂取することができます。)
このように、体内で生成されないものは免疫力アップにとても大切です。
※LPS(リポポリサッカライド)とは LPSは日本語では「糖脂質」
LPSは自然の中の土・木・植物・食品・空気中に存在している、グラム陰性細菌の細胞壁の一番外側に埋め込まれている物質です。現在は、健康の維持や美肌効果など様々な働きが期待できます。
h3ストレス解消
ストレスがかかると自律神経の乱れから血行不良になり、免疫力の低下に繋がります。
また、自律神経の乱れから白血球の中の免疫細胞のバランス(顆粒球とリンパ球)のバランスが崩れると免疫細胞の働きが低下し、病原菌や異物に対する抵抗力も弱くなってしまいます。
ストレスにより交感神経が優位になると、副腎(腎臓の上に位置する約2~3cmの小さな三角形の臓器)からコルチゾールが分泌されます。コルチゾールは白血球の働きを下げてしまうため、免疫力の低下に繋がってしまいます。
現代社会では子供から大人、高齢者までストレスを感じていない人はいないと言われるくらい、高ストレス社会となっています。
ストレスをいかに上手に発散しているかが、免疫力アップにも心身の健康にもとても大切になってきます。
「ストレス解消法はなんですか?」と聞いて答えられない方は要注意です!
※コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一種で、ストレスホルモンとも呼ばれています。心身がストレスを受けると、急激に分泌が増えます。
h3笑う
笑うと、がん細胞やウイルスを殺傷してくれるナチュラルキラー細胞という免疫細胞の一種を活性化することができ、免疫力の向上に繋がります。人間の体内には50億個ものナチュラルキラー細胞があり、活発に働くほど感染症やがんにかかりにくいと言われています。
また、笑うと血の巡りが良くなり、免疫細胞の働きが活性化されたり、リラックスすると副交感神経も優位になって自律神経のバランスが整います。
作り笑いであっても、ナチュラルキラー細胞が活性化したり、副交感神経が優位になったりすると言われているので、作り笑いでもいいので口角を上げて笑っていることが大切です。
自分が楽しい事やリラックスできる方法を見つけてみましょう!
「免疫力を高める習慣」
・体を温めること(冷えの改善)
・腸内環境
・適度な運動
・良質な睡眠
・食事(ビタミンA,C,E・良質なタンパク質)
・ポジティブな思考
・適度なアルコール
・笑う
・免疫力を高めて病気知らずな体作りを
日頃の生活の中でのちょっとした意識を変えていくことで、今の自分と今後の自分の健康を守ることができます。
人生100年時代。健康な体で充実した日々を送れるようにしていきましょう!